「思い込み」を外すと見えてくるビジネスチャンス!
「バリアフリー」
「インクルーシブ」
・・・
全ての人に分け隔てなくということは、大切なこと。
プロダクトデザインにおいてもこの概念はとても大事。
誰もがストレスなく使える仕組みを提供していくことは、超高齢社会の日本においては、まさに喫緊の課題。
ここに全く異論はないのですが、「誰もがストレスなく使える」の私の認識、だいぶずれていたなと頭にガツンと一撃の場面に、先日遭遇しました。
地域で活躍する方々の事例発表会を見学した時のこと。
活動事例の一つに「地域紹介ポータルをつくろう!」というものがありました。いわゆる「地域の魅力を対外的に発表しよう」という狙いのものです。
活動はもうすぐ三年目というところなのですが、既にサイトの運営がされていて、これがなかなかのもの。
外部に一部委託などして進められているのか、地域の中にWeb専門の方がいらっしゃるのだろうと、勝手に想像していたら…
「それでは〇〇さんにサイトの特徴など説明してもらいます」
と司会の方に促されて出てきた方は、どう見ても70歳は軽く越えていらっしゃる女性。
「こんな場で話す事は慣れてないんですが…」
と言いながらゆっくりしたペースながらもしっかりプレゼン(機器をいじりながら!)
「では次に△△さんにはサイトから生まれた活動を紹介してもらいます」
今度の方は、どうも80歳に届いているのではという男性。
「スマホかタブレットを必ず持ってくることを条件に茶話会を始めました。孫に薦められて購入したけど使い方が分からないとか、どのプランに入ったらお得なのかとか、みんなでわいわいと話してます」
いわば、IT談議が茶飲み話題になっていて、それを楽しんでいらっしゃる!
「サイトをつくろう!」ということで、始めた活動。月一で、外部の専門家がアドバイザーとしてついているものの、集まった方々は、これまでIT機器などに触ったこともない高齢者の方がほとんど。それが、今では自主的にサイト運営ができるまでに使いこなされています。「なんだかよく分からないね~」と言いながら。
どんなに機器を使いやすくしても、それが使う事の理由にはなりません。離れて住む親にスマホ持たせようと思って「シニアにも安心、字が大きい!」(そんな宣伝文句の機種があるかどうかは知りませんが)というモデルを選んで渡しても、ほとんど意味はないんですよね。多少使いにくくても、使いたいと思う気持ちがあれば使うし、使いこなせないと思ったものが少し馴染んできた瞬間に面白さも感じる。
「誰もが使いやすい」を単純に追い求めても、それだけでは”売れる機器”にはならないということですね。
「それはターゲティングが不十分なんだよ。ペルソナを具体的に想定してないから…」マーケティングをご存知の方からは、そういう突っ込みもありそうですね。
実はそこなんです、私が頭をガツンと殴られたポイントは。ターゲティングやペルソナそのものが「思い込み」じゃないかということ。
”お年寄りはIT機器が使えないので使いやすい機器を提供”
も
”IT機器に興味関心ある層にターゲティングして市場を深堀”
も
結局のところ、相手の将来の可能性を無視した「思い込み」
この「思い込み」を外すと、新しいビジネスチャンスが見えてくる気がします。
「70歳以上限定 初心者のためのIT茶話会…」こんな企画アイデア、少なくとも私には思いつきません。
「思い込み」無くすことはできませんが、意識することはできそうです。
ここ、とっても実感しているところです。