シニア起業家はビジネスにお金を使おう!
先日、たまたま偶然に『バブルの頃』を20代の方に話をする機会が続きました。
「明け方、都心から多摩の自宅にタクシーで帰り、そのまま運転手さんを待たせてシャワーだけ浴び、会社に出社し直した」だの、「美味いラーメンが食べたくなったので、飛行機乗って札幌まで日帰りしてきた」だの、それはもうバカみたいな話を並べたので、おとぎ話に目を輝かせるように聞き入ってくれました。実際はあきれて、何も言えなくなっただけかもしれませんが…
『バブル現役世代』の、“また出たか話”と笑ってくださって良いのですが、昔を思い出しているうちに気づいたことがあります。それは、お金を使うという感覚の衰えについてです。
あまりにもおバカなお金の使い方からの反動か、『バブル』以降、お金を使わない能力(≒態度,姿勢)が、ここず~っと私たち日本人の基本価値となっているような気がします。「コスト削減」とか「緊縮財政」とか「無駄を省く」とか。「効率化」なんていうのもこの類の価値観の一つかもしれません。
将来に備えてまずお金を貯める。容赦なきコストカッターこそが良き経営者、リソースを集めるのにお金を使わないことが立派なマネジメント、節約に勝る経営無し…てな勢いです。何せ、ちょいと「無駄使い」に見えようものなら、世間から総攻撃。お金使うことのリスクが、失う以上にとんでもなく大きくなっている感じです。
バブルの頃の笑い話の一つに、
「どうせお前ら頭も体力もないんだから、せめてお金でも使えよ!」
と上司に怒られるTV番組の企画マン達というのがありましたが、お金を使ってどうビジネスにつなげるか、切磋琢磨をしていた時代でもあったと言えます。これ、今になって考えると貴重な体験かもしれません。
「お金を使う」こと、意外に今のビジネスシーンで選択肢から外されている事が多いのではないでしょうか。「コストをかけずに…」という枕詞をつけて、ちょっとしたチャレンジを先延ばしにしていないでしょうか? 節約は本来、使うべきところにお金を回すための手段。使わないお金を貯めこむことが目的ではないはず。ここぞというところにお金をかけることこそ、ビジネスの要諦であったはず。そこを見極めることこそ、経営者の力だったのでは。お金をかけて、自分達では持ちえないカードを持つ。M&Aだってそういった視点の経営手法の一つですよね。買い物上手になるには、場数だって踏まないといけません。
『バブル世代』は、確かにおバカなお金も沢山使ったと思いますが、だからこそ、お金の面白い使い方、活かし方を知っているはず。ここ、もう一度磨いてみたら、ビジネスがもっと楽しくなるのでは?
え? もともと使えるお金がない? うーん、じゃぁ使い方を指南して一緒に楽しむということで…世の中、そんなに甘くないか(^^;)