フィレンツエでプレゼンテーションの基本を学ぶ(イタリアに行ってきたよ①)
起業して、初めての海外旅行!に行ってきたので、”旅のおもひで”をこちらのブログに残しておくことに。
とは言え、折角なので、多少強引でも「志事」(≒ビジネスネタ)にも結び付ける感じで、”ご紹介”していこうかと…
第1回は
「フィレンツエでプレゼンテーションの基本を学ぶ」
です
天井のない美術館…とか言われる場所は世界にいくつかあるようですが、フィレンツエと言えばルネサンス美術の宝庫! 15世紀の往時と変わらぬ(多分)街並みの中で、じっくりと味わうことができます。
しかし、夏のバカンスシーズンは激混み観光地の様相。例えば、ウフィツィ美術館は、予約をしていても30分以上炎天下に並んでの入場。展示室もごっちゃごっちゃの人で、とても落ち着いて鑑賞というわけにはいきませんでした。
という事で、気を取り直して、バルジェッロ国立美術館に廻りました。ウフィツィ美術館からそれほど遠くもないのに、こちらは観光客もまばらで、ルネサンスの「至宝」を堪能することができました。
有名どころではこちらの、作品。
1401年に開かれた、サン・ジョヴァンニ洗礼堂の扉制作を巡って開かれた、コンクールで最終選考に残った二人の作品。向かって左側がギベルティ(当時23歳)作で、右側がブルネレスキ(当時24歳)作。
当時ヨーロッパでも有数の繁栄を誇っていた都市の、シンボル的建物の正面を飾る扉のデザインを誰に委ねるかというコンクール。実力と野心に満ち溢れた若者が、覇を競ったわけですから、これはもうプレゼンテーションとしては最高の舞台設定ですよね。
お題は「イサクの犠牲」で、旧約聖書の場面の一つを彫刻で表現するもの。
左側のギベルティの作品は、優美な雰囲気も漂う感じで、美術史的にはゴシックという当時まだ主流だった様式スタイルを踏まえたもの。右側のブルネレスキの作品は、かなりドラマ性を感じるリアリティある作風。当時としてはかなり斬新な構図で、ルネサンスの美術様式の先駆けとも言える感じ。二作品とも、甲乙つけがたい出来で、当時も審査はかなり迷ったようですが、最終的にギベルティが勝利!
さて、ここからプレゼンテーションの基本を学ぶとすると、
「審査員の分かるレベルでとどめておかなきゃね」
といった辺りが真っ先に浮かぶわけです。ブルネレスキは少し早かったかなと。
ところが、ちょこっと調べると、ギベルティの作品の方が、使う材料の量が少なく済むというのも、選考理由の大きな一つだったことも分かりました。
そうなんです!
「審査員の置かれている環境を考慮する」
が、プレゼンテーションに勝つための基本の一つなんですよね。
当時のフィレンツエは、商人が経済的にも社会的にも力を持っていて、サン・ジョヴァンニ洗礼堂のプロジェクトも、毛織物貿易商人の組合、アルテ・ディ・カリマーラのもの。当然ですが、予算の中で最大効果を出したいのが、お金を普段扱う人たちの感覚。ギベルティの方が、ブルネレスキより、コストパフォーマンスが高いと判断されたのでしょうね。
ということで、ルネサンスの時代から、やはり「発注側の裏の事情」も考慮することがプレゼンテーションの基本かと。
…え? そんなことはルネサンスまで遡らなくても知ってるわいと。いやいや、同じ過ちは、600年以上たった今でも、結構あるんですよね。
ちなみに、その後ブルネレスキは建築家とし大成し、サン・ジョヴァンニ洗礼堂を見おろす、ドゥーモを建てたことで、有名です。
才気あふれる若者を取り立てる
実は、見習うべき「プレゼンテーションの基本」はこちらの方かもしれませんね。