芸術家はイノベーターですよね、本当 ー「黒田清輝」展を観てきましたー
Day 1Y+118
自分の無力感を感じて行動が鈍りそうな時は、パワーをもらいに美術館を訪れるようにしています。
「黒田清輝」 美術ファンでなくても、その名前や『湖畔』という作品は知っているかもというほどの有名画家。生誕150年を記念しての展覧会ということで、生涯にわたる作品を画家の歩みとともに味わえる構成になっていて、とても見ごたえのある内容…というか、圧倒されちゃいました。
印象に残る作品が多かったのですが、中でもフランス留学の中で、サロン初の入賞作となった『読書』 「自分の才能を絶対に認めさせてやる!」といった迫力が画面全体からみなぎっていました。特に中央に描かれている書籍。こちら側に飛び出してくるような勢いで、女性の眼差しとも相まって、めっちゃ力強いです。
『湖畔』は一転して柔らかい感じ。解説を読むと、画家自身がこんな言葉を残しているとのこと。
「日本人の頭脳(あたま)から出ると云ふ事柄に就いて、油絵も遂に日本化させられて一種又違った日本風と云ふものになることは極(き)まって居る」
これ凄いなぁ~。本場で認めさせた技量を持って、帰国後には日本風に独自にアレンジ。その後、パリで開かれる万博に「日本の油絵」として出展して、賞までとっちゃうんですからね。しかし、その黒田清輝ですら、裸体画を描いて「風俗を乱す」と非難されちゃう時期があったとのこと。新しいことを進めると、どんなに”本物”でも、拒絶されちゃうことがあるということですね。
常々、芸術家ってイノベーターだなぁと思っていましたが、今回の黒田清輝展を見て、ますますその思いを強くしました。自分の美意識(価値観)に疑いはないのに、世間にも認めさせたい。孤高になりたくないし、迎合は絶対しない。その狭間で悶々としながら、作品を出し続けて、やがて認めさせちゃう。うーん、凄いという表現以外、浮かばないですよ。