高校の教壇で、「励ます(エンカレッジ)」を学ぶ。
Day 1Y+86
先日、高校の教壇に立つという経験をさせてもらいました。社会人先生による特別授業の機会で、NPO法人ブラストビート http://blastbeat.jp/blastbeat/
が主催(企画)したものに、お声掛けいただいたという次第。
社会人先生の授業というと、体験談を「講演」するイメージですが、今回は、ブラストビートのプログラムで、グループワーク主体のもの。社会人先生の自己紹介が10分程度あるものの、基本はファシリテーターという役回りです。
実施先の高校は、都立蒲田高校。「エンカレッジスクール」の一つです。
「エンカレッジスクール?」私は、今回初めてその名前と存在を知りましたが、東京都教育委員会のHPから検索していくと
小・中学校で十分に能力を発揮できなかった生徒のやる気を育て、
基礎基本の定着と学力の向上を目指した、学び直しの学校。
という説明がありました。現在、都立高校の5校が指定されているようです。
実際の授業開始前に、担任&副担任の先生に話をお聴きすると、「グループワークができるか、正直心配しています。意見をうまく言えるか、それをまとめることができるのか…」 発達障害と診断されている生徒もクラスに複数いるなど、”普通の授業”がしにくい環境であることは間違いないようです。実際、ベルが鳴っても着席しない生徒がいるし、先生が話を始めても、ジャージを投げ合って遊んでいる生徒がいたり…。これは確かに大変だぞと思いつつ、「今日は笑顔を絶やさずやりましょうねぇ~」と、いささか不自然(多分)な笑顔をこちらが浮かべて、いざ授業開始!
…で、実際に終了後、私は自身の先入観というものに気づかされることになりました。
歩き回っている生徒がとってもいいアイデアを口に出したり、発言を全くしていない生徒がみんなの意見をまとめて書いてくれたり、おしゃべりに夢中になっている(ように見えた)生徒がしっかりとおやじギャグに反応してくれたり…。まぁ、おやじギャグへの反応はどうでも良いのかもしれませんが、最初の印象とは異なる、生徒の素敵な面を沢山見ることができたのです。グループワークの発表もユニークなものが多く、感心させられてしまいました。「能力の低い子を何とか引き上げる」ための「エンカレッジスクール」なのかと思い込んでいたのですが、生徒の可能性をちゃんと見つけてあげるための学校なんですよね。授業終了後のアンケートにも、「優しく教えてくれて、とても楽しかったです!」とか「うるさくしちゃってごめんなさい」なんて気遣いの言葉まで。
でも、自分が一番勘違いしていたのは先生方に対する印象でした。最初は、「ちゃんと授業受けられるように、もっと教えてあげないと」と思ったし、途中からは「こんなに沢山いい面があるのだから、もっと引き出して欲しいなぁ」と考えたりもしたのです。でも、授業が終わって、全力疾走の後のようにどっと疲れている自分に気づいた時、少し分かった気がしました。「こちらがエネルギー全開で相手(生徒)に臨まない限り、内にある可能性のかけらも引き出せないんだ」 休み時間挟んでたったの90分の授業でこれだけエネルギー使い切ってしまうような現場で、先生方は、毎日この挑戦に取り組んでおられる。励ます(エンカレッジする)ということは、まさに身を削るような真剣勝負なんだなと。
メガホン持って「頑張れ!」というのが励ますことと思っていたら、とんでもないことだと実感しました。せめて、思い込みで曇った自分の目を少しでも磨きなおして、今まで見えていなかった豊かな可能性を見いだせるようになりたいなと思った次第です。高校の教壇は教えるところではなく、教わるところでした。
あ、あと一つ、大事な感想が。今回ご一緒させていただいた他の社会人先生たちが本当に魅力的だったのです。大人も惚れるような方々は、やはり生徒たちからもすぐに慕われていました。エネルギーがあふれるばかりの大人、やっぱりいいですよね~♪